Why Symmetry?
なぜ、対称なのか?
“Tyger! Tyger! burning bright
虎よ! 虎よ! 輝き燃える、
In the forests of the night,
夜の森の中で、
What immortal hand or eye
如何なる不死の手または眼が
Could frame thy fearful symmetry?”
汝の恐ろしい均整をつくり得たのか。
―William Blake―
ウィリアム=ブレイク
0.
Maybe there is life on other planets.
おそらくほかの惑星に生命体は存在するであろう。
The science club at Jun’s school has been discussing [what creatures from other planets might look like].
ジュンの学校の科学倶楽部は、ほかの惑星からの生き物がどんなふうに見えるのかということについて議論している。
Would they have arms and legs and faces?
それら[=ほかの惑星の生き物]には腕と脚と顔があるのであろうか?
Jun decided to do some research.
ジュンはなんらかの調査を行なうことを決心した。
Here is Swhat {he found out}.
ここに、彼[=ジュン]が見つけ出したものがある。
1.1
There are Sbillions of galaxies in space, each {containing billions of stars}, so there may be life somewhere in the universe.
宇宙空間には何十億もの銀河系があり、それぞれ(の銀河系)は何十億もの恒星を含んでいるので、宇宙のどこかに生命体が存在するかもしれない。
No one really knows, however, [if there is any other life even in our solar system].
しかしながら、われわれの太陽系においてでさえ、ほかに生命体が存在するのかどうか(ということを)だれも本当には知りはしない。
We do not even know [if there is life on Mars].
われわれは、火星に生命体が存在するのかどうかさえ知りはしない。
If forms of life have evolved on other planets, will they have certain features in common with life as we know it?
もしも生命体の形態がほかの惑星で進化していたのであるならば、それら[=生命体の形態]はわれわれが知っているような生命体と共通したある特定の特徴を備えているのであろうか?
1.2
We do not know for certain, but at least we can make some guesses.
われわれは、はっきりとは知らないが、しかし、少なくともわれわれはある程度の推測をすることはできる。
On Earth, life started out with spherical symmetry, then went in two directions: the plant world with conical symmetry, and the animal world with bilateral symmetry.
地球上で生命体は球対称で始まり、その後、2つの方向へと進んだ:すなわち、円錐の対称形を備えた植物の世界と、左右対称形を備えた動物の世界である。
There are good reasons to think [that evolution of life on any planet would follow a similar pattern].
どんな惑星上の生命体の進化は似たような型[=パターン]を辿ると考える実にもっともな理由がある。
1.3
Primitive one-celled life {floating in a sea} would naturally assume a spherical form.
海に浮かんでいる原始的な単細胞生物は、当然のことながら、球状の形態を帯びているであろう。
But once it settles on the sea bottom or on the land, an up-down difference is created.
しかし、いったん海底あるいは陸に定住すると、上下の違いが生み出される。
The rooted end of any plant is clearly different from the upper end.
どんな植物の根がついた端は、上部の先端とは明白に異なっている。
There is nothing, however, in the sea or air to make a difference between front and back, or right and left.
しかしながら、海中や空中では、前後あるいは左右の違いを生じるものはなにもない。
It is for this reason that plant forms, for the most part, have conical symmetry.
まさに、この理由によって、たいていの場合、植物の形は円錐の対称形を備えている。
別訳:たいていの場合、植物の形は円錐の対称形を備えているのは、まさにこの理由による。
2.1
How about the forms of animals?
動物の形についてはどうであろうか?
Think about sea anemones.
磯巾着(いそぎんちゃく)について考えよう。
They are attached to something and cannot move about on their own power.
それら[=磯巾着]はなにかにくっついており、自分自身の力で動き回ることはできない。
They usually have conical symmetry.
それら[=磯巾着]は通常、円錐の対称形を備えている。
Slow-moving animals {such as jellyfish} have the same symmetry.
海月(くらげ)のような動きがのろい動物には同じ対称形[=円錐の対称形]が備わっている。
These animals float about in the sea or lie on the bottom, and food and danger come at them equally from all sides.
これらの動物は海中をあちらこちらへと漂ったり、あるいは底に横たわったりして、食べ物と危険とがすべての方向から等しくそれら[=磯巾着や海月]に向かってくる。
However, as soon as a species has the ability to move about rapidly, a difference develops between the animal’s front and its back.
しかしながら、種(しゅ)が急速に動き回る能力が備わるとすぐに、動物の前部と後ろとの違いが発達する。
2.2
In the sea, animals with the ability {to move about rapidly} have a great advantage in searching for food.
海中では、急速に動き回る能力を備えた動物には、餌を探す場合に、たいへん有利である。
It is more efficient for fish to have a mouth Aon the front end than Bon its back.
魚が、前部の先端に口を備えているのは、後ろに備えているよりも効率がよい。
Eyes are more efficient when they are on the front end, near the mouth.
それら[=眼]が前部の先端に、それも口の近くにある場合、眼は効率がよい。
With its eyes on the back, a fish couldn’t see [where it is going].
眼が後ろについていれば、魚はそれ[=魚]がどこに進んでいるのかわからないであろう。
In short, the simple fact of swimming through water resulted in [making a difference between the Afront and Bback end of an animal (in the course of evolution)].
要するに、水中を泳ぐことという単純な事実は、進化の過程において、動物の前部の端と後部の端の違いを生じさせるということに帰着したのである。
3.1
At the same time, Sthe force of gravity was causing Osimilar differences between an animal’s top and bottom.
同時に、重力という力は、動物の上端と下端との同様の違いを引き起こしていた。
What about right and left?
右と左とについてはどうであろうか?
You will easily realize [that there is nothing in the sea {to make Oa difference between right and left important}].
左右の違いを重要にするものが海中にはなにもないということにあなたはたやすく気づくであろう。
A fish encounters Oa difference between front and back because one is the direction {it goes}, the other is the direction {it comes from}.
魚は前部と後部との違いに遭遇する。なぜならば、一方はそれ[=魚]が進む方向であり、他方は、それ[=魚]がやって来る方向であるからである。
The fish also encounters a difference between up and down.
魚はまた、上部と下部との違いにも遭遇する。
If it swims up, it reaches the surface of the sea.
もしもそれ[=魚]が上に向かって泳ぐならば、それ[=魚]は海の表面[=海面]に到達する。
If it swims down, it reaches the ocean floor.
もしもそれ[=魚]が下に向かって泳ぐならば、それ[=魚]は大洋底[=海底]に到達する。
But what difference does it encounter if it turns left or right?
しかし、もしもそれ[=魚]が左に、あるいは右に方向を変えるならば、それ[=魚]はどのような違いに遭遇するのであろうか?
None.
いかなる違いにも遭遇しない。
If it turns left, it finds the sea, exactly like the sea {that it finds if it turns right}.
もしもそれ[=魚]が左に方向を変えるならば、それ[=魚]は海を、それも、もしもそれ[=魚]が右に方向を変えた場合にそれ[=魚]が見出す海と、まったく同じ海を見出すであろう。
There are no forces, like the force of gravity, {which are at work horizontally in one direction}.
重力(という力)とはちがって、ある方向に水平に作用する力はまったく存在しない。
It is for these reasons [that some features ― like fins and eyes ― tend to develop equally on left and right sides].
まさにこうした理由で、ある特徴――鰭(ひれ)と目のように――が左側と右側とで等しく発達する傾向にある。
4.1
Is it possible to speculate about life forms even further?
生命体の形態についてさらにもっと思索することは可能であろうか?
If there are animals on another planet, will they have anything in common with those on Earth?
もしもほかの惑星に動物がいるならば、それら[=ほかの惑星の動物]には、地球上の動物と共通するなにかが備わっているのであろうか?
The answer is yes.
答えは、諾(だく)[=イエス]である。
Fish, {swimming in the strange seas of another planet,} would move about by means of tails and fins.
もしもほかの惑星の未知の海で泳ぐならば、魚(というもの)は、尾と鰭(ひれ)とを用いて動き回るであろう。
Creatures, {flying in the air of another planet,} would move by means of wings.
もしも生き物(というもの)がほかの惑星の空中を飛ぶのであるならば、翼を用いて移動するであろう。
On land, animals would move about by means of legs.
陸上では、動物(というもの)は、脚を用いて動き回るであろう。
Is there a simpler way than that?
これよりももっと簡単な方法が存在するのであろうか?
You might imagine a wheel, but it would be difficult for a wheel to evolve.
あなたは車輪を想像するかもしれないが、しかし、車輪が進化するのは困難であろう。
4.2
If life on another planet evolves intelligence like that of people on Earth, it would have at least a few human-like features.
もしもほかの惑星の生命体が、地球上の人間の知性のように知性を進化させるならば、それ[=ほかの惑星の生命体]は少なくとも2、3の人間のような特徴を備えているだろう。
There are good reasons for eyes, ears, and noses to form a kind of face.
眼と耳と鼻とが顔のようなものを形成する相当な理由がある。
There are clear advantages in having fingers at the end of the arms.
腕の先端部に指があることには明白な利点がある。
For protection, the brain needs to be in a hard case and as far from the ground as possible.
保護するために、脳髄(のうずい)は硬い容器に入っている必要があり、地面から可能な限り離れている必要がある。
4.3
It is possible [that strange-looking creatures are living in the seas, land, and skies of other planets].
外見が奇妙な生き物がほかの惑星の海や陸や空で生きている可能性がある。
They are not likely to be so strange, however, that we could not recognize them as animals.
しかしながら、それら[=外見が奇妙な生き物]は、われわれがそれら[=外見が奇妙な生き物]を動物として認知できないくらいに奇妙であるということはなさそうである。
This is simply because their bodies would have bilateral symmetry.
これは単に、それらの身体が左右対称を備えているからにほかならない。
7 件のコメント:
いつも見させていただいています。
分かりやすくてためになります。
ありがとうございました。
>>匿名さんへ
どういたしまして。
とてもわかりやすいです。
本当にありがとうございます。
いつもありがとうございます。
Section2 最後の文の"in the course of evolution."に付されている黄緑色の()にはどんな意味があるのですか?
匿名さん(2012年5月27日16:21)へ
黄緑色の括弧は、この場合、makingを修飾する副詞句であることを表しています。
過去に、HAL496の生徒でひとりだけですが、in the course of evolutionがan animalを修飾すると解釈した生徒がいました。
「進化の過程における動物」と読み取ったわけです。
そこで、念のために黄緑色の括弧をつけて、in the course of evolutionはmakingを修飾する副詞句だとわかるようにしてみたのです。
しかし、訳文を読めばわかるので、対訳ではあまり効果がないようです。
一度、ほかの英文のプリントで副詞句すべてに黄緑色の括弧を施したところ、ゴチャゴチャしすぎて余計に見づらくなりました。
今は副詞節にのみ、黄緑色の括弧を施すことにしています。
いつもいつもお世話になっております。
4_1のところなのですが、Creatures, flying ではなく、Birds, flying ではないでしょうか?
匿名さん(2012年7月12日)へ
返信するのをうっかり忘れていました。
2003年度版はCreaturesとなっています。
2006年度版はBirdsとなっています。
コメントを投稿