CROWN II New Edition Lesson 1
Black Sheep and Silver Spoons
黒い羊と銀の匙(さじ)
厄介者と富
→黒い羊のような厄介者と銀の匙で食事ができる豊かさ
▼「黒い羊と銀のスプーン」でいいと思うけどね。
前のBLOGのコメント欄へのそらさんからの書き込みと、今回、こちらのBloggerのコメント欄への匿名さんからの書き込みで、とりあえず英文がそろった(最初にある格言のようなものや、小さい文字で印刷している部分はないようだが)。暫定版。入力ミスなどがあれば、指摘してくれるとうれしい。
The Phrase Finder
1)2)3)はそれぞれ1)はものすごい直訳で、2)は字面にあわせた普通の訳で、3)はイディオムの意味で訳したもの。こうすればわかりやすくなるかと思ったが、失敗だったみたいだ。
Harry, you were born with a silver spoon in your mouth, but now you’re the black sheep of the family.
1)ハリー、あなたは自分の口に銀のスプーンをくわえて生まれましたが、しかし、今、あなたは家族の中の黒い羊です。
2)ハリー、あなたは口に銀の匙(さじ)をくわえて生まれたけど、今じゃ、家族の中の黒い羊よね。
3)ハリー、あなたは高貴な生まれだけど、今じゃ、一家の厄介者ね。
*be born with a silver spoon in one’s mouth: 裕福な家庭に生まれる▼由来:金持ちの親は子どもに銀のスプーンで食べさせて育てるから。▼俺的には、ヨーロッパの貴族って、アレルギー体質の人が多かったのかもしれないと思ってしまった。
*the black sheep of the family: 一家の厄介者(やっかいもの);一家の面汚(つらよご)し;一家の持て余し者
Harry:
I know, Jane.
わかっているよ、ジェーン。
Somehow I can never make ends meet.
1)どういうわけか、私は決して終わりを合わせることができません。
2)どういうわけか、ぼくは終わりを合わせることが今までにできたためしがないんだ。
3)どういうわけか、ぼくは収支を一致させることがどうしたってできないんだ。
*to make ends meet: 直訳:終わりが合うようにする;端が合うようにする→収支が一致させる;家計の収支を合わせる;分相応に暮らす;収入の範囲内でやりくりする
*to make O do: Oが…するようにする;Oに…させる
I tried selling used cars and I went broke.
1)私は中古車を売ろうと試み、そして、私は壊れた状態になりました。
2)ぼくは中古車を売ろうとしたんだけど、壊れました。
3)ぼくは中古車を販売しようとしたけど、破産してしまった。
*to try doingとto try to doの違いは『ロイヤル英文法改訂新版』のp. 539の下のほうに書いてある。この項、つづく(たぶん)
Then I tried the stock market and I got taken to the cleaners.
1)それから、私は株式相場を試み、洗濯屋に連れて行かれた状態になりました。
2)それから、株式相場に手を出して、クリーニング屋に連れて行かれました。
3)それから、株式相場に手を出して、一文(いちもん)なしになったんだ。
When it comes to business, I’m just a babe in the woods.
1)ビジネスのこととなると、私はちょうど森の中の赤ん坊です。
2)ビジネスのことだと、私はまるで森の中の赤ん坊なんだ。
3)ビジネスのことだと、騙されやすいんだ。
Everybody takes advantage of me.
1)あらゆる人が私を利用します。
2)だれもがぼくを利用するんだ。
*to take advantage of …: …を利用する
Jane:
It's not other people. It's you.
1)それはほかの人々ではありません。それはあなたです。
2)ほかの人のことではありません。あなたのことです。
*「他人のせいにしてはだめよ。自分の責任なのよ」とか、日本語の得意な文系女子は訳すんだろうな。
Quit trying to pass the buck.
1)牡鹿を渡しまわそうと試みることをやめなさい。
2)牡鹿の角でできた柄のあるナイフを手渡すのはやめなさい。
3)責任逃れをしようとするのはやめたら。
Harry:
You're right.
1)あなたは正しい。
2)きみの言うとおりだよ。
I have to turn over a new leaf.
1)私は新しい葉っぱをめくらなければならない。
2)ぼくは新しいページをめくらなければならないね。
3)気持ちを入れ替えないといけないね。
*leaf: 葉;(本の)紙葉◆本を構成する紙の一枚を指す言葉で、一丁、二丁と数える。折った紙葉の半分を指すこともあり、その場合は2ページに相当する。
*to turn over a new leaf: 心を入れ替える;(今までの素行を改めて)再出発する;生活を一新する;真人間になる
From now on, the buck stops here!
1)これからは、牡鹿はここでとまります。
2)これからは、牡鹿の角でできた柄のナイフはここ[=ぼくの手許]でとまるよ。
3)これからは、自分で責任をとるよ。
*the buck:〈米〉ドル;バック(ポーカーでディーラーであることを示す印);(シカやウサギなどの)雄、牡鹿
*The buck stops here.: 責任は私が取る。▼アメリカの第33代大統領トルーマン(1884-1972)が自分の机に記した言葉。他の人はどんどん責任を転嫁(pass the buck)していっても、最後は大統領の所でとめるという決意を示したとされる。
* * *
You probably know every word in the dialog, but did you understand the meaning?
みなさんは、たぶん、この対話[=2人の会話]のどの単語も知っているでしょうが、しかし、意味を理解したでしょうか?
*dialog: 対話;会話▼定訳はdialogが「対話」で、conversationが「会話」。2人でするのが「対話」の基本だと思う。日常語としては「2人の会話」とするのがよさそうな気がするが。イギリス綴(つづ)りではdialogue。
If not, it’s because much of the meaning is carried in its idioms.
1)もしそうでなければ、大部分の意味はイディオムで運ばれるからです。
2)もしもそうでないとすれは、大部分の意味がイディオム(という形)で伝えられるからです。
*in its idiom: ここでのinは表現形式などを示すもので、in Englishのinと同じ(だと思う)。
idiom: イディオム;慣用語法;慣用語
Idioms cannot be understood literally.
1)イディオムは逐語的に理解される可能性はありません。
2)イディオムは文字どおりに理解されることは不可能です。
3)イディオムを字面(じづら)どおりには理解することはできません。
*いつものことだが、直訳がむずかしい場合は、受動態を能動態に書き換えてから、主語を省略して訳すと、3)の訳になる。
cf. We cannot understand idioms literally.
*literally: 文字どおりに;逐語的に;字面どおりに;一語一語▼副詞。
以下の単語もチェックしておくとよいらしい。
literal: 逐語的な▼形容詞
literate: 読み書きができる
literacy: 読み書きできる能力;識字能力
illiterate: 読み書きのできない人;無教養な人
literary: 文学の
literature: 文学
They come from history, literature, politics, and even sports and popular entertainment.
1)それら[=イディオム]は歴史や文学、政治、さらにはスポーツや流行している娯楽にさえ由来します。
2)イディオムの起源には、歴史・文学・政治、さらにはスポーツや流行している娯楽さえもあります。
To understand a language fully, you must understand the culture it comes from.
ある言語を充分に理解するためには、それ[=言語]が由来する文化を理解しなければなりません。
Language teachers and textbooks often avoid idioms.
言語の教師[=外国語の教師]と教科書はイディオムをよく避けます。
But when you read or listen to real English, you come upon idioms every step of the way.
1)しかし、あなたがたが本物の英語を読む、あるいは聴くとき、あなたがたは、その道のりのすべての歩みでイディオムに出会うのです。
2)しかし、あなたがたが本物の英語を読む、あるいは聴くとき、あなたがたは、その通り道での一歩一歩でイディオムに出会うのです。
3)しかし、本物の英語を読んだり、聴いたりする場合、 どこであろうとイディオムに出くわします。
*every step of the way: 始めから終わりまで;いつでも;いつまでも;どこでも▼手許の辞書類に載っていなかった。Googleで“every step of the way”を検索してみたら、いろいろと出てきた。時間的な広がりで言っているようだと、「いつでも」となり、空間的な広がり(こちらがもともとの意味だろう)だと、「どこでも」となるようだ。ちがっていたらすまない。それぞれの用例を以下に、いくつか挙げておく(この項、あとでさらに追加するつもり。どうでもいいことにこだわるのが好きらしいです)。
▼I'll be behind you every step of the way.
「ずっ~と応援していくよ」
"behind ~"で「~を応援して、~の味方について」という意味。
ex: We are all behind you!
(みんなあなたの味方よ!)
A lot of young Japanese girls are behind Amazaki Hayumi.
(多くの若い日本人女性はアマザキハユミを応援している)
↑cf.ではなくexを使っている時点で、英語が得意ではない気がするのだが。
▼とある英会話の案内のサイト
This is because I am supporting you every step of the way, customizing flexible lessons to meet your needs exactly as you move closer and closer to your dream.
これは、あなたがより夢に近づくために必要なことをその都度カスタマイズしながらサポートできるからこそ可能なのです。
参考までに直訳を書いておく。「これは、まさに(exactly)あなた(がた)が自分の夢にますます近くに移動するにつれてあなた(がた)が必要とするものに合致するようにと柔軟性のあるレッスンを特別に設けながら、いつでもあなたがたを支援しているからです」
▼とあるオンライン口座の開設方法について述べたサイト
And usually, you are guided every step of the way.
そして通常は、現在の各ステップの道に導かれます。
↑おいおい、訳がまちがっているぞ。
▼とある中古レコード屋さんのサイト
santana / every step of the way(果てしなく道)
↑Carlos Santanaというメキシコ人のミュージシャンの中古レコードらしい。380円だった。Amazonで投げ売り状態のZero Landmineよりも130円高い。それはともかく、「果てしなく道」ってのは誤訳くさいな、「いつまでも、どこまでも」とかがいいのかもしれないと思って、歌詞を調べたが、Santanaの曲の歌詞を掲載しているどのサイトをのぞいても、歌詞が載っていない。そこで、つたない聴き取り能力で歌詞を聴き取ろうと、YouTubeでCarlos Santana Every Step of the Wayで検索した。ビデオがあった。早速再生してみた。……イントロが長いな。……なかなか曲が始まらないな。……インストゥルメンタルだった。orz
(Oops, sorry. I mean, you will find idioms everywhere.)
2)(おっと、すまない。私が言いたいのは、どこでもイディオムを見つけ出すということです)
3)(おっと、すまない。つまり、いたるところでイディオムに出くわすってことさ)
* * *
Let’s translate the dialog.
さあ、対話を翻訳してみましょう。
→さて、(ふたりの)会話を解釈してみましょう。
*to translate: 翻訳する;解釈する▼「解釈する」が定訳となる英単語はto interpret(「通訳する」の意味もあるけど)。
A silver spoon, which is a traditional gift for a new baby, is a sign of being rich.
銀の匙(さじ)は生まれたての赤ん坊への伝統的な贈り物ですが、それは裕福であることの徴(しるし)です。
Poor families could not buy such an expensive gift.
貧しい家庭はそのような高価な贈り物を買うことはできませんでした。
If you are born with a silver spoon in your mouth, you are born into a rich family.
もしもあなたが口に銀の匙をくわえて生まれたならば、あなたは裕福な家庭に生まれたということです。
→口に銀の匙をくわえて生まれたという場合、裕福な家庭に生まれたということです。
***
The black sheep is different from the rest of the family.黒い羊は、残りの家族とはちがっている。
Black sheep of the family
People do not like a black sheep because its fleece cannot be dyed and is worth less than that of the white sheep.
人々は黒い羊が好きではない。なぜなら、その羊毛は染めることができないし、白い羊の毛よりも価値が低いからである。
*直訳しにくい文章は、能動態を受動態に、受動態を能動態に換えたらどうなるかを考えて、書き換えた英文から訳出してみる。Peopleは、そのまま訳すと、変な日本語になるよね。
A black sheep is not liked because we cannot dye its fleece and it is worth less than that of the white sheep.
黒い羊は好かれてはいない。なぜなら、その羊毛は染めることができず、白い羊の毛よりも価値が低いからである。
or黒い羊は嫌われている。なぜなら、その羊毛は染めることができず、白い羊の毛よりも価値が低いからである。
*be worth ...: …の価値がある;…に値する;…の値打ちがある
*less than ...: …未満の;…に満たない
*that of the white sheep = the fleece of the white sheep(白い羊の毛)
*thatが抜けていました。
*なにも考えずに、「白い羊の羊毛」としていたが、「匿名」さんのコメントを見てから、“黒い羊の羊毛”と“黒い羊の毛”とでGoogleで検索してみた ところ、前者は4件(そのうちの3件は「ブラックシープ(黒い羊)の羊毛」)で、後者は184件ヒットした。ということで、「羊の羊毛」は、「羊」の字がくどいと感じるの世間一般の感覚だとわかったので、そのように訂正した。
The “black sheep” is an embarrassment to the family.
「黒い羊」はその一家にとって厄介者である。
If you can’t make ends meet, you cannot live on the amount of money {you make}.
make ends meet(終わりを合わせる=収支を一致させる)ことができないということは、自分が稼ぐお金(の量)[=金額]で暮らしていけないということである。
“Meet” means “to match”.
meetは「合わせる」を意味する。
→meetは「合わせる」ということである。
In planning your personal finances you must make the total at the bottom (the end) of the expenditure column match (meet) the total at the end of the income column.
個人の財務の計画を立てる際には、支出の欄の底(終わり)での合計を、収入の欄の終わりでの合計と一致させ(合わせ)なければならない。
*In planning your personal finances = When you plan your personal finances(個人の財務計画を立てるときに)▼in doing ...の直訳は「…することにおいて」であるが、以前は、上記のように書き換えてから、訳すということが推奨されたそうである。最近は、こういうことには 言及しない傾向にあるそうだ。
*bottom: 底▼縦に数字の記入欄が並んでいるなかでの、最後の記入するところ、つまり、いちばん下の記入欄を指している。
*column: ここでは会計表の「列」のこと。「列」としたのは、数学の「行列」の「行」はlineで、「列」はcolumnだから。表計算ソフトのExcelでも、縦 の列をcolumn(列)、横の列をline(行)と呼んでいる。これは数学の行列matrixの「行」と「列」の使い分けと同じ。
If the ends don’t meet, you are falling into debt.
終わり(収支)が合わなければ、借金を負うことになる。
If you are broke or go broke, you are out of money.
be broke(一文無しである)あるいはgo broke(一文無しになる)の場合、お金がないということになる。
The idiom comes from 19th century England.
このイディオム[= be brokeとgo broke]は19世紀のイングランドに起源がある。
When workers could not pay their debts, the people {they owed money to} would sometimes break their tools.
労働者が借金を支払うことができないとき、労働者がお金を借りた人々[=相手]は、ときには、労働者の工具を壊したものであった。
*would: 〔過去の習慣・動作などの反復についての回想を表して〕…したものだった
***
If you are taken to the cleaners, you have lost all your money.
クリーニング店に連れてゆかれるという場合、有り金すべてを失っているということになる。
During the 1800s, if people broke into your house and took everything, you were “cleaned out.”
1800年代には、だれかが家に押し入り、なにもかも持ち去った場合、cleaned out(すっからかんに)されたということになる。
The idiom changed in the 20th century with the introduction of dry cleaning shops.
このイディオムは、ドライクリーニング店の導入にともなって、20世紀に変化した。
You could be “taken to the cleaners” if you were not careful.
注意深くなければ、taken to the cleaners (「クリーニング店に連れて」ゆかれる=「一文無しに」なる)可能性がある。
***
“A babe in the woods” is a simple person who is easily taken advantage of, like a baby lost in the woods.
「a babe in the woods(森の中の赤ん坊=だまされやすい人)」とは、森の中で迷子になった赤ん坊のように、簡単に利用されやすい人のことである。
“Passing the buck” means to avoid responsibility.
「passing the buck(直訳:牡鹿を手渡す→ポーカーのつぎの親の目印となる牡鹿の角でできた柄のナイフを手渡す)」とは、責任を逃れることである。
Jane says that Harry will not take responsibility for his own action.
ハリーは自分の行為に対して責任をとるつもりがないとジェーンは述べている。
When Harry says that the buck stops here, he means that he will begin taking responsibility.
the buck stops here(ポーカーのつぎの親の目印となる牡鹿の角でできた柄のナイフがここで止まる)とハリーが言う場合、自分が責任をとることをはじめるつもりだということを意味している。
*the buck stops here: ここで責任はとまる;責任の転嫁はしない;責任は私がとる
▼アメリカ合衆国第33代大統領ハリーS.トルーマンHarry S. Trumanの座右の銘。机の上に、the buck stops hereと彫り込んだ卓上表札desk signを置いていた。
卓上表札の写真はここ↓
"The Buck Stops Here" Desk Sign
それにしても、トルーマンは、日本への18発の原子爆弾投下を承認している。広島・長崎に投下したのち、「さらに10万人も抹殺するのは、あまりにも恐ろ しい」と、ビビッてしまって、3発目以降の原子爆弾の使用停止命令を出している。2発も落とさないと、恐ろしさに気がつかなかったというのは、あまりにも 想像力が貧困である。よっぽど物理ができなかったんじゃねえのかと疑ってしまう。ウラン型とプルトニウム型の2種類の原子爆弾を広島・長崎に落として、そ の破壊力を比較し、データを集めるという目的もあったらしいから、2発は落とさせてくれという軍部の強い意向があったのかもしれないけど(すいません、勝 手な推測です)。教科書に登場するHarryは、たぶん、Harry S. Trumanを念頭においているような気がする。それにしても、Harry S. Trumanは原子爆弾投下や空襲による非戦闘員の殺戮(戦時国際法違反)に対する責任はとっていないな。まあ、大統領の責任というのは、自国民に対するものだから、べつに問題ないか。
The buck stops here
This idiom comes from the American West, where, in the 19th century, poker was popular.
このイディオムはアメリカ西部に起源があるのだが、アメリカ西部では、19世紀にポーカーが流行した。
As part of this game, each player takes a turn at dealing the cards.
このゲームの一環として、それぞれのプレーヤーはカードを配ることを交代で引き受けた。
A marker is sometimes placed in front of the person who is next in line to deal.
目印は、ときには、カードを配るつぎの順番の人の前に置かれる。
*to deal = to deal the dards
In the Old West, the marker was often a knife, since all cowboys carried a knife.
旧西部では、目印はナイフであることがよくあった。なぜなら、カウボーイはみな、ナイフを携帯していたからである。
*since: (なぜなら)…だからである▼この意味でsinceを使うのは古すぎる。理由を示すにはasやbecauseがふつうで、sinceはめっちゃ古いそうだ。でも、教育上の配慮として、将来的には19世紀の文献も読まなければならないようになる高校生のためにあえて使っているらしい。
The most common knife at the time was known as a buckhorn knife, because the handle was made from the horn of a buck deer.
当時、最も一般的なナイフは、バックホーン=ナイフ(柄(つか)が牡鹿の角のナイフ)として知られていた。なぜなら、柄は牡鹿の角から作られていたからである。
*handle: ナイフ関係の日本語のサイトをいろいろと見たけど、「柄(つか)」よりも「ハンドル」を使っていた。どうでもいいんだけど。
Pass the buck
Sometimes the person {designated to deal} would want to leave the game or sit out one hand.
ときには、カードを配るように指名された人物は、ゲームをやめたいと思ったり、あるいは、ひと勝負、参加したくない[=見送りたい]と思ったりする。
*sit out one hand: 勝負を1回、見送る;ひと勝負、しない
▼ここで、ぼくがしでかしたお間抜けなことを紹介する。いつも使っている『英辞郎』という電子辞書で、handを調べたが、「勝負」という意味がなかっ た。sit out one handのone handの意味がわからなかったので、引用符("..." )でくくって、"sit out one hand"をGoogleで検索した。引用符でくくれば、sit out one handという文字列(単語列)のままのものが含まれるサイトが検索される。「ウェブ全体から検索する」で8件しかヒットしなかったから、それほど一般的 な言い回しではないのだろうな。それから、ひとつひとつの用例を読んで、意味を推測した。どうやら、「一回休み」とか、「1回、勝負に参加しない」という ことだと推測できた。念のために『ランダムハウス英和大辞典』でhandの項目を引いてみたところ、「勝負」の意味が載っていた。嫌な予感がしつつも、 『ジーニアス英和辞典』(これは滅多に引かない。訳語選びには『英辞郎』ほども役に立たないから)でhandの項目を引いてみた。「勝負」の意味が載って いた。『英辞郎』って電子辞書は訳語を探すにはとても便利なんで、つい頼りすぎていた。それに、handのような日常語を『ランダムハウス英和大辞典』で 調べると、ごちゃごちゃと書いてあって面倒くさいだろうから、Googleで用例を集めて、そこから意味を推測するほうがよっぽど早いだろうと考えたわけ だが、実際、ふだんは、このほうが効率がよい。しかし、今回は中型の辞書でも引いておけば時間が節約できたんだろうな。ということで、10分以上時間を無 駄にしたことを、こんなところで30分以上かけて書き込んでいるぼくは真性のあほだな。
A player could do so by passing the marker―passing the buck―to the next player.
競技者[orプレーヤー]はつぎの競技者[orプレーヤー]に目印を手渡す――つまり、牡鹿の角でできた柄のナイフを手渡す――ことによって、そうすることができます。
Later, sometimes a silver dollar was used as a marker in place of a knife.
のちに、時には、1ドル銀貨が、ナイフの代わりに目印として使われました。
That is how the American dollar came to be called a buck.
こうして、米ドルがbuckと呼ばれるようになりました。
When Harry says the buck stops here, he means he will take full responsibility for anything that happens.
ハリーがthe buck stops hereという場合、生じたことならどんなことに対しても全責任をとるということを意味します[=と言っていることになります]。
“To turn over a new leaf" means to start again.
1)「新しい葉っぱをめくる」とは、再び出発することを意味します。
2)「新しいページをめくる」とは、再出発することです。
A “leaf" in this idioms is a sheet of paper or page in a book.
このイディオムでのleafは、1枚の紙または本のページです。
* * *
外国語のイディオムを学ぶのに、簡単な方法はまったくありません。
As a student of English, you should listen for these strange words and phrases, write them down, try to look them up and ask your native-speaker friends for help.
1)英語学習者として、あなたがたはこうした奇妙な語や言い回しに聞き耳を立て、それらを書き留め、調べようとし、ネイティブ=スピーカーの友人に助けを求めなければなりません。
2)英語を学ぶ者として、こうした奇妙な語や言い回しに聞き耳を立て、それらを書き留め、調べようとし、ネイティブ=スピーカーの友人に協力を求めなければなりません。
*to listen for …: …に聞き耳を立てる;…を聴こうと耳を澄ます
*to write O down / to write down O: Oを書き留める
*to try to do: …しようと試みる
*to look O up: (ことばを)調べる
*to ask O for help: Oに助けを求める
Just use your loaf.
1)ただ、あなたの食パン1斤を使いなさい。
2)ただ、自分の食パン1斤を使うだけでよいのです。
3)ただ、頭を使いさえすればよいのです。
*a loaf: ひと塊;ひと塊のパン;(キャベツ・レタスなどの)玉▼「頭」や「頭脳」の喩(たと)えなんだろうな。
*to use one's loaf: 頭を使う;考える▼『アンパンマン』に登場するしょくぱんまんに向かって言ったら、イディオムではなくなってしまうということを主張して笑いをとろうとする人が、たぶん、いるんだろうなあ。しょくぱんまんにとっては、頭を使うことは、それこそloafを使うことになるもんね。それにしても、アンパンマン、カレーパンマン、メロンパンナちゃんと、パン関係ではカタカナが多いのに、どうして、しょくぱんまんだけはひらがななんだろうか?
It's a piece of cake.
1)それは1切れのケーキです。
3)お茶の子さいさいです。
*a piece of cake: 1切れのケーキ;ケーキ1切れ;(一切れのケーキをペロリと食べるように)とてもたやすいこと;非常に簡単なこと;朝飯前;お茶の子さいさい▼食べ物を使ったイディオムだから、食べ物を使った訳にしたいという人は、「朝飯前」や「お茶の子さいさい」を、とりわけ「お茶の子さいさい」を訳に採用するんだろうなと思って、それにしておいた。「お茶の子」とは、お茶に添えて出されるお茶菓子のことで、簡単に食べられることから、簡単にできることのたとえとなったそうだ。また、朝食の前に食べる「茶粥(ちゃがゆ)」のことを「お茶の子」という地方があって、そこから、「朝飯前」の意味になったとする説もあるらしい。また、「さいさい」は、俗謡にある「のんこさいさい」という囃子詞(はやしことば)をもじったものだそうだ。
(おっと、失礼。ちょっと自分の頭を使えば、簡単になりますよ(ってことです))
〔了〕
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