Crossing the Border―Médecins sans Frontières―
crossing: to crossの動名詞▼to cross: 〈道路·砂漠などhaを〉横切る、〈川·橋を〉渡る▼the border: 国境▼to cross the border: 国境を越える▼mé!decin(s) : [仏]医師、医者★フランス語でmé!decineなら「医学、医療」のこと。 ▼sans : ~なしの、~のない= without▼frontière(s) : 国境 = border(s)★なお、英語にもfrontierという語があり、「国境、国境地方」の意味がある。▼ Médecins sans Frontières: 国境なき医師団★フランスは医師が日本よりも単位人口あたりで考えると多く、医師が余っているので、こうした活動に従事しやすい環境にある。ノーベル平和賞を受賞している。フランスの医師の平均収入は、ある資料によると、5万5千ドルとのことで、これは日本の勤務医(40歳)の平均所得の半分以下である。ということは、フランスで「医師をしています」というと、若いときにろくに勉強をしておらず、決して豊かではないのだと思われることになってしまう。医者の所得が高いのは、日本とアメリカ合衆国くらいだということを聞いたことがある。日本は健康保険制度が充実しているから、あくどいことをしなくてもいいけど、アメリカ合衆国だと、貧乏な人からお金をふんだくれる勇気のある人が医者になるということか。
Our true nationality is mankind.
true: 本当の、真実の▼nationality: 国籍▼mankind: 人類、人間《★集合体と考える時には単数、構成要素を考える時には複数扱い; 単数扱いのほうが一般的》
—H.G. Wells—
H.G. Wells: Herbert George Wellsハーバート=ジョージ=ウェルズ1866-1946イギリスの小説家・歴史家・科学評論家。『タイムマシン』(1895)『透明人間』(1897)『宇宙戦争』(1898)などの科学小説を発表。ほかに『世界史概観』(1922)がある。
0.
Dr. Kanto Tomoko joined MSF in 1994.
Kanto Tomoko: 貫戸朋子▼1955(昭和30)年、京都府出身。医師。東京女子医科大学卒業後、京都大学医学部附属病院、倉敷中央病院などで産婦人科医を務めたのち、1991年にジュネーブ大学に留学。1992年、日本人で初めて国境なき医師団(MSF)の登録医となる。1993年より、派遣医師としてスリランカのマドゥー難民キャンプで医療活動に携わり、1995年に帰国。1999年、国際協力事業団(JICA)のメキシコ女性の健康プロジェクトを担当。関連の記事として、「難民治療は『万民治療』―内戦のスリランカで『国境なき医師団』活動[貫戸朋子]・日本経済新聞(1994年3月30日朝刊)」「座談会 世界の平和へ―私たちの進む道は[樋口陽一・貫戸朋子・屋良朝博・宮内ひろみ]婦人之友(婦人の友社・1999年8月)」などがある。▼to join: ~に加わる、~に参加する▼MSF : 国境なき医師団 = Médecins sans Frontières▼1994 = nineteen ninety-four
She was the first Japanese {to work in the field with this international volunteer group}.
the first ~: 最初の~▼Japanese: 日本人▼to work: 働く、仕事をする、勉強する、取り組む、従事する、努力する▼
the first Japanese to work …: …で働いた最初の日本人★to work …はthe first Japaneseを修飾する不定詞の形容詞用法の限定用法で、主語関係すなわち修飾される語(ここではthe first Japanese)が不定詞の意味上の主語になっているもの。
I have no one to help me.
[主語関係]私には助けてくれる人がいない。
I have no one to help.
[目的関係]私には助けてやるべき人がいない。
She gives a speech to a group of high school students about her experience.
speech: 演説、スピーチ▼to give a speech: 演説をする、スピーチをおこなう▼group: [集合的に]群れ 《★[用法] 集合体と考える時には単数, 構成要素を考える時には複数扱い; [類語]group は動物や物の群れ·集まりの最も一般的な語;herd は一緒に生活する家畜·動物の群れ; drove は一緒にぞろぞろ移動する家畜の群れ; pack は猟犬·オオカミなどの群れ; flight は飛ぶ鳥の群れ; flock は羊·ヤギ·ガチョウ·アヒル·鳥などの群れ; swarm はハチ·アリなどの大群; school は一団となって泳ぐ魚·クジラなどの大群; shoal は同一種類の魚の大群▼a group of ~: ~の集団、~のかたまり、~の集まり▼experience: 経験
1.1
After I had worked for about eight years as a doctor in
for about eight years: 約8年の間、8年くらいの間▼as a doctor: 医師として▼Switzerland: スイス★スイスのことを「スイス」と日本語でいうのはフランス語のSuisseに由来。なお、ドイツ語ではSchweiz(シュバイツ)という。▼further: もっと程度の進んだ;そのうえの、それ以上の▼study: n. 研究▼the University of Geneva: ジュネーブ大学★「ジェノバ大学」と間違える人がいそうだが(20数年前に私は間違えた)、イタリアのジェノバはイタリア語ではGenovaだが、英語ではGenoaである。ジェノバに大学があるのかどうかは知らないが。
It was there that I joined Médecins sans Frontières (MSF), known in English as “Doctors Without Borders.”
It was ~ that …: まさに~(こそ)が、……;……のは~である★ここでは「まさに~で……」か「……のは~である」のどちらかで訳す。
★強調構文。強調構文かどうかの見分け方のひとつは、この場合、It wasとthatとを取り除いた残りで完全な文ならば強調構文であるというのがある。
★ここでは
There, I joined Médecins sans Frontières …
そこで、私は国境なき医師団に参加した。
となり、完全な文であるので、強調構文であると判断できる。
★フランス文学系の人は「まさに~が……」と訳したがり(「まさに」をつけて強調している)、英文学系は「……であるのは~だ」とする(重要な情報は後ろに置くという日本語の鉄則による)傾向がある。
there = at the University of Geneva▼to join: ~に加わる、~に参加する▼me!decin(s) : [仏]医師、医者★フランス語でme!decineなら「医学、医療」のこと。 ▼sans : ~なしの、~のない= without▼frontie~re(s) : 国境 = border(s)★なお、英語にもfrontierという語があり、「国境、国境地方」の意味がある。▼Médecins sans Frontières: 国境なき医師団▼..., known in English as ~: 英語では~として知られている= …, which is known in English as ~▼doctor(s): 医師▼without ~: ~なしの、~のない▼border(s): 国境▼
MSF is a volunteer group of doctors and nurses {helping people all over the world {who are sick or injured as a result of 1war and 2disaster}}.
MSF: 国境なき医師団= Médecins sans Frontières▼volunteer(s): ボランティアの▼group: 集団、グループ▼doctor(s): 医師▼nurse(s): 看護師、看護婦★男女平等の観点から「看護婦」をやめて、「看護士」にするようにしようとしたが、どういうわけか最終的には「看護師」になった。「医師」に合わせたのではないかと思う。▼~ helping …: …を助けている~★doctors and nursesを修飾する現在分詞の形容詞用法。▼all over the world: 世界中の▼~ who ...: ……である~★先行詞の部分はpeople all over the worldである。▼sick: 病気の▼to injure ~: ~を傷つける、~にケガをさせる▼to be injured: ケガをする、傷つく▼a result: 結果、結末、成果、成り行き▼as a result of ~: ~の結果、~の結果として▼war: 戦争▼disaster: (生命・財産などを失わせるような突然の、または大きな)災害、大惨事;大きな災難[不幸]
It is a non-governmental organization (NGO) {supported mainly by ordinary people}.
non-governmental: adj.非政府の, 政府と無関係の, 民間の▼organization: 組織、機構▼a non-governmental organization: 非政府組織、民間公益団体《略 NGO》▼NGO = non-governmental organization▼to support: ~を支援する、~を支える、~を養育する▼~ supported mainly by …: 主に……によって支えられている~★過去分詞の形容詞用法▼ordinary: 普通の▼
MSF was established in
MSF: 国境なき医師団= Médecins sans Frontières▼to establish: 設立する、創立する、確立する▼France: フランス▼1971: nineteen seventy-one▼since ~: ~以来、~から▼then: そのとき▼has been giving: ~を(ずっと)与え続けている★現在完了進行形▼medical: 医療の、医学の▼help: n. 助け、救助;助力;援助、手伝い▼medical help: 医療援助▼no matter what S is: Sがたとえどんなものであっても▼race: 人種▼religion: 宗教▼politics: 政治、政治学、政見、政綱▼
1.2
Before joining MSF I had been thinking for a long time about [how I might be of some help to others as a doctor.
before doing …: ……する前に▼to join: ~に参加する、加わる▼MSF: 国境なき医師団= Médecins sans Frontières▼had been thinking: (ずっと)考えていた▼for a long time: 長い間▼about ~: ~について▼how S V …: どのようにSは……するか(ということ)⇒どうすればSは……するのか(ということ)▼of + 抽象名詞 = 形容詞▼of help = helpful: 役に立つ、手助けになる▼of some help: いくらかなりとも手助けになる;いくらかなりとも役に立つ = rather helpful; helpful to some extent; helpful to some degree; somewhat helpful▼to ~: ~に対して▼others: 他人、他者、ほかの人々▼as ~: ~として▼a doctor: 医師、医者▼
I wanted to see different cultures and things {which I could never come across in
different: さまざまな;異なる、違った▼culture(s): 文化▼thing(s): ものごと、こと、もの▼could never do: ~することがありえない、~する可能性がない▼to come across ~: ~に(ふと)出くわす、~を見つける▼
I had read about MSF in newspapers and also I had friends {who had donated money to MSF}.
had read about ~: ~についての記事を(既に)読んであった★過去完了は過去のある時点からみて①完了を示す②その時点から見た過去を示すのいずれかであり、ここでは①の完了を示しており、用法は「経験」である。▼newspaper(s): 新聞▼also: また;~も▼I had friends who …: 私には……である友人がいた▼to donate: 寄付をする▼money: お金▼MSF: 国境なき医師団= Médecins sans Frontières▼
So I sent a letter to an MSF office in
so: それで、だから、それゆえ▼sent: to sendの過去形cf. send-sent-sent▼to send: ~を送る▼a letter: 手紙、書簡▼MSF: 国境なき医師団= Médecins sans Frontières▼office: 事務所、事務局▼Paris: パリ▼a letter …saying ~: ~と書いた手紙★なお、I sent a letter …, saying ~とカンマ(,)がsayingの前にあれば「私は……手紙を送ったが、それには~と書いてあった」などのようになる。▼to wish to do: ~することを望む、~したいと思う▼to join ~: ~に参加する、~に加わる▼the organization: 組織★いうまでもなく、ここではMSF(国境なき医師団= Médecins sans Frontières)のことなので、国境なき医師団と訳出してもよい。
They said yes and I was sent to the Madhu refugee camp in
said: to sayの過去形cf. say-said-said▼yes: はい、諾▼They said yes: 彼らは「はい」と言った⇒彼らは承諾した、彼らは許可した▼sent: to sendの過去分詞cf. send-sent-sent▼to send: ~を送る▼was sent: 送られた、派遣された▼Madhu: 発音記号からすれば「マードゥ」だが、正式なところは不明。▼refugee: n. C (国外への)避難者、難民、亡命者、逃亡者:adj. 難民の▼a refugee camp: 難民キャンプ▼Sri Lanka: スリランカ★インド南東方の Ceylon 島から成る共和国;旧名Ceylon;首都 Sri Jayewardenepura Kotte▼…, where ~: ……だが、そこでは~★関係副詞の非制限用法▼fighting: 戦闘、戦い;論争;格闘、闘争▼to go on: 続く▼on: adv. [前進方向・継続]進んで、向かって、先へ、前方へ;続けて、ずっと、どんどん▼
2.1
At Madhu there were 28,000 refugees, and yet there was only one small hospital, {where we had only 1two nurses, 2two Tamil doctors, 3interpreters and 4health workers}.
Madhu: 発音記号からすれば「マードゥ」だが、正式なところは不明。▼28,000 refugees: twenty thousand refugees▼refugee: n. C (国外への)避難者、難民、亡命者、逃亡者:adj. 難民の▼and yet: それにもかかわらず、それなのに、しかもなお = but▼only: たったの、わずかに、~しかない▼small: 小さな▼hospital: 病院▼…, where ~: ……、そしてそこでは~★関係副詞の非制限用法。▼we had only ~: 私たちには~しかなかった⇒~しかいなかった▼nurse(s): 看護師、看護婦▼Tamil: タミル人(の)、タミル語(の)★主にインド南部やスリランカに住む。学習院大学名誉教授の大野晋は日本語の起源はタミル語であるという節を唱えている。▼doctor(s): 医師、医者▼interpreter(s): 通訳▼health: 健康▼worker(s): 働く人、労働者▼health worker(s): ヘルスワーカー、保健指導員▼
We had only the simplest medical equipment to work with.
We had only ~: 私たちには~しかなかった▼the simplest ~: simpleの最上級▼simple: 簡単な、単純な、簡素な、基本的な▼medical: 医療用の、医療の、医学の▼equipment: [集合的に](ある目的のための)備品、設備、装具、用品;機器、器材▼to work: 働く、仕事をする、勉強する、取り組む、従事する、努力する▼to work with: (~を使って)仕事をするための★不定詞の形容詞用法。withがついているのは、たとえばWe work with the equipment(私たちは器具を使って仕事をします)というから。次の例文を参照。He has no house.(彼には家がない)/He lives in the house.(彼はその家に住んでいる)He has no house to live in.(彼には住む家がない)
There were times {when we felt sad because we had to treat so many people with old equipment}.
There were times when …: ……であるときがあった★whenはtimesを修飾する関係副詞。▼felt: to feelの過去形cf. feel-felt-felt▼to feel: 感じる▼sad: 悲しい▼had to do: ~しなければならなかった▼to treat: 治療する、手当てをする;扱う、処理する、取り扱う▼so many ~: とても多くの~▼with ~: ~で、~を使って▼old: 古くなった、老朽化した▼equipment: [集合的に](ある目的のための)備品、設備、装具、用品;機器、器材
2.2
We started at 9 a.m. and treated about 150 people each day.
to start: 始める、開始する▼at 9 a.m.: 午前9時に▼to treat: 治療する、手当てをする;扱う、処理する、取り扱う▼about: 約~、およそ~▼each ~: それぞれの~▼each day: 毎日
They spoke Tamil.
They: 具体的には「毎日診察する患者たち」のこと▼spoke: to speakの過去形cf. speak-spoke-spoken▼Tamil:タミル語▼
We asked OIthem ODsimple questions and decided [what to do].
to ask OI OD: OIにODを訊ねる▼simple: 簡単な、単純な、簡素な、基本的な▼to decide: ~を決める、~を決心する▼what to do: 何をするべきか(ということ)★たいていの人は意識していないが、what to doは不定詞の名詞的用法である。ここではdecidedの目的語部分となっている。
In the afternoon, we treated people in our eight beds, usually pregnant women and babies.
the afternoon: 午後▼to treat: 治療する、手当てをする;扱う、処理する、取り扱う▼bed(s): ベッド▼usually: 通常は、たいていは▼pregnant: 妊娠した▼pregnant women: 妊娠した女性、妊婦▼babies <>赤ん坊、乳児
Sometimes we went to a small camp eight kilometers away from Madhu.
sometimes: ときどき、ときおり、ときには▼went: to goの過去形cf. go-went-gone▼small: 小さな▼camp: キャンプ▼eight kilometers away: 8キロメートル離れた▼away: adv. 離れて▼Madhu: 発音記号からすれば「マードゥ」だが、正式なところは不明。
We worked from morning till night.
to work: 働く、仕事をする、勉強する、取り組む、従事する、努力する▼from ~: ~から▼till ~: ~まで▼
2.3
1Malaria, 2asthma, 3pneumonia ― these diseases were the most common.
malaria: マラリア▼asthma: 喘息▼pneumonia: 肺炎▼disease(s): 病気、疾患、疾病▼the most common: commonの最上級▼common: 普通の、並みの、ありふれた
One of the main causes of disease was poor food and water.
main: 主な、主要な▼cause(s): 原因▼disease(s): 病気、疾患、疾病▼poor: 貧しい、貧困なる;乏しい、不充分な、貧弱な;(質の)悪い、粗末な、劣等な▼food: 食べ物、食料▼water: 水▼
When the rainy season came in October, diarrhea increased and we lost some of our children.
rainy: 雨の▼season: 季節▼the rainy season: 雨季▼came: to comeの過去形cf. come-came-come▼to come: 来る、訪れる、やって来る▼October: 10月▼diarrhea: 下痢★diarrhoeaとも綴る。▼to increase: 増える、増加する▼lost: to loseの過去形cf. lose-lost-lost▼to lose: ~を失う、なくす▼some of our children: 私たちの(診察した)子どもたちのうちの数人
We treated everyone {who came to us}, even soldiers {carrying weapons}, but only after they put their weapons away.
to treat: 治療する、手当てをする;扱う、処理する、取り扱う▼everyone: だれでも▼everyone who …: ……するものはだれでも▼came: to comeの過去形cf. come-came-come▼to come: 来る、訪れる、やって来る▼came to us: 私たちのところにやって来た、私たちのものへやって来た▼even: ~でさえ▼soldier(s): 兵士▼to carry: ~を運ぶ、(身につけて)持ち歩く、携帯する▼weapon(s): 武器▼but only after ~: しかし、~した後に限りました▼to put O away: (1) 〈ものを〉片づける、しまう:(2)〈金を〉(将来のために)取っておく、蓄える:(3)〈食物·飲物を〉うんと食べる、飲む、平らげる:(4)〈考えなどを〉放棄する、見捨てる:(5)〈老犬などを〉殺す、片づける:(6)〈人を〉〔刑務所·精神病院などへ〕入れる〔to〕
2.4
We were told [we would be safe].
= We were told, “You will [or would] be safe.”/= They told us (that) we would be safe. /= They told us, “You will [or would] be safe.” ▼told: to tellの過去分詞cf. tell-told-told▼to tell: 告げる、言う、語る、話す▼S were told ~: Sは~と言われた、~と告げられた▼safe: 安全な▼
However, there were times {when we were ordered not to go out at night}.
however: しかしながら▼there were ~: ~があった▼times when …: ……であるとき、……である場合▼to order O to do: Oに~するように命ずる▼not to go out: 外出しないように▼at night: 夜間、夜に▼
We listened to the radio to find out [whether it was safe Sto go outside or not].
to listen to ~: ~を聴く▼the radio: ラジオ★元来はradiotelegraphy(n. U 無線電信(術))の略。▼to find out ~: ~を見つけ出す、発見する、見きわめる、確認する★find out は調査・観察の結果、見つけ出すことなので、探して〈人·ものを〉見つけ出す時は用いない。▼whether A or not: Aであるか、そうでないか(ということ)を▼safe: 安全な▼to go outside: 外に出ること;外出すること★意味上の主語▼outside: adv. 外へ、外に▼
3.1
SThe most difficult thing about our work at Madhu was Cto make decisions.
the most difficult ~: 最も難しい~▼work: 仕事、任務、務め、労働、研究、勉強、取り組み、努力、作業▼Madhu: 発音記号からすれば「マードゥ」だが、正式なところは不明。▼decision(s): 決定、決断;決心、決意▼to make a decision: 決定する、決断する = to decide▼to make decisions: 決断すること、決定をすること★不定詞の名詞的用法で、補語部分を構成している。
We had to think about the local situation, because Slooking at the situation through Western or Japanese eyes could lead us to make wrong decisions.
to have to do: ~しなければならない▼had to do: ~しなければならなかった▼to think about ~: ~について考える▼local: 地元の、その土地の、その土地に特有の▼situation: 状況▼to look at ~: ~を眺める、見る、熟視する;~を考察する★考察した結果、判断するのであるから「判断する」という訳も悪くないと思うのだが。▼through ~: ~を通じて、~によって▼Western: 西洋の、欧米の▼Japanese: 日本の▼eye(s): 目;物を見る目、観察力、眼識;pl. 視力、視覚;pl. 物の見方、見地、見解▼could: ~しかねない、~する場合もある▼to lead O to do: Oを導いて~させる、Oを~させる;Oに~するように仕向ける★S leads O to doの場合、Sが原因で、その結果がOが~するということである。そこから、「SのせいでOが~する」と訳す場合もあれば、「SならばOが~する」と訳す場合もある。書き換えはいろいろと考えられるが、ここでは次のものが特徴的な書き換えであろう。…, because if we looked at the situation through Western or Japanese eyes, we could make wrong decisions. /……、なぜなら、もしもわれわれが西洋的なあるいは日本的なものの見方で状況を考察したならば、われわれは誤った決定を下しかねないからです。★lookedとcouldが用いられているのは仮定法過去(現在の事実に反する仮定)であるから。
Since our medicines as well as our medical equipment were very limited, we had to 1look at each situation as it happened and 2choose the best thing to do.
since: [起点]~以来;[理由]~ので、~だから▼medicine(s): 薬品▼α as well asβ: βと同様にαも、βと同じくαも、βはもちろんαも = not only βbut also α▼medical: 医学の、医療の;内科の▼equipment: 1. 準備、したく:2.[集合的に](ある目的のための)備品、設備、装具、用品;機器、器材:3. (仕事に必要な)知識、素養 ▼to limit: 限る、限定する、制限する▼limited: 限られた、有限の;わずかな、狭い▼to have to do: ~しなければならない▼had to do: ~しなければならなかった▼to look at ~: ~を眺める、見る、熟視する;~を考察する★考察した結果、判断するのであるから「判断する」という訳も悪くないと思うのだが。▼each ~: それぞれの~、個々の~▼situation: 状況▼as: conj. ◎[時]~しているとき、~した途端;~しながら★when よりも同時性の意味が強く, while とほぼ同様に用いられる◎[比例]~につれて、~に従って◎[原因・理由][通例文頭]~だから、~ゆえに★because は直接の理由を明示し、as は軽く付帯的な理由を述べる場合に用いるが、意味のあいまいさがあるため 《米》 では because, since が用いられる。▼to happen: 起こる、起きる▼as it happened: (ある状況が)生じるごとに▼to choose: ~を選ぶ▼the best ~: 最善の、最もよい★goodの最上級▼the best thing to do: 直訳:なすべき最善のことがら⇒最善の行為
3.2
I clearly remember the day {when a woman brought her five-year-old boy to our hospital}.
clearly: はっきりと、明瞭に▼to remember: 憶えている、思い出す▼the day when …: ……である日★whenは関係副詞▼a woman: 女性、女、婦人▼brought: to bringの過去形cf. bring-brought-brought▼to bring: ~を連れてくる▼five-year-old ~: 5歳の~★yearsと-sはつかない。また、理系の者に「5才」と書く人が多いが、正式には「5歳」が正しいので、小論文などでは「歳」を用いる。▼a hospital: 病院
I saw immediately [that he was beyond help].
saw: to seeの過去形cf. see-saw-seen▼to see: 見る、確かめる、確認する、わかる、見て取る★個人的には「見て取る」というのはかなり使い勝手のよい訳語であると思う。ここでは「わかった」くらいか。▼immediately: 即座に、すぐに= at once, soon▼beyond: ~の範囲を越えて;~以上に▼help: n. 助け、救助;助力;援助、手伝い▼beyond help: 救助の範囲を越えて⇒手遅れ = could not be helped
We gave OIhim ODoxygen, but he was pale, his breathing was difficult, and the oxygen mask made him uncomfortable.
gave: to giveの過去形cf. give-gave-given▼to give OI OD: OIにODを与える、あげる、提供する、授ける、施す、渡す、割り当てる▼oxygen: 酸素▼pale: 〈人・顔が〉青白い、青ざめた;顔色が悪い▼breathing: n. 息遣い、呼吸、呼吸法★元来は動詞であるto breatheの動名詞▼breath: n. 息、呼吸▼to breathe: 息をする、呼吸をする▼difficult: 困難な、難しい▼the mask: マスク▼the oxygen mask: 酸素マスク★重症の場合は酸素マスクで、軽症の場合は酸素が出てくる管を両方の鼻に差し込まれる。▼made: to makeの過去形cf. make-made-made▼to make O C: OをCにする▼uncomfortable: 心地よくない、気持ちの悪い、住み[居、座り、着、はき]心地(など)の悪い:〈事態など〉困った、気詰まりな、やっかいな
He was not improving.
improving: to improveの現在分詞▼to improve: よくなる、好転する、進歩する、増進する★ここでは病状のことなので「回復する」など。
We were using our last tank of oxygen.
using: to useの現在分詞▼the last ~: 最後の~▼tank: タンク、ボンベ★ボンベはドイツ語のBombeに由来する。▼oxygen: 酸素▼our last tank of oxygen: 最後の酸素ボンベ
We didn’t know [when the next tank was coming].
the next ~: 次の~▼tank: タンク、ボンベ▼when the next tank was coming: 次のボンベがいつ来るのか(ということ)★過去のある時点から見て近接した未来のことなのでwould comeではなくwas comingとなっている。
If another person {needing oxygen} arrived, maybe this tank could save his or her life.
another ~: ほかの~、別の~、もうひとりの~▼~ needing …: ……を必要とする~★needing …は~を修飾する現在分詞の形容詞用法▼oxygen: 酸素▼to arrive: 到着する、着く▼arrived: 仮定法過去なのでif節の中が過去形になっている。現在の事実に反する仮定。▼maybe: たぶん▼tank: タンク、ボンベ▼could: 仮定法過去だから。▼to save: 救う、救助する▼life: 命、生命
I made my decision, and made a sign to the nurse {who was working with me} to turn off the oxygen.
made: to makeの過去形cf. make-made-made▼a decision: 決定、決断;決意、決心▼to make a decision: 決定する、決断する▼a sign: 合図、身振り▼a sign to do: ~せよという合図、~せよという身振り▼the nurse: 看護師、看護婦▼to work: 働く、仕事をする、勉強する、取り組む、従事する、努力する▼to turn off O: Oの栓を止める、栓をひねってOを止める = to stop▼
oxygen: 酸素▼to make a sign to O to do: Oに~するように合図を送る、Oに~するように身振りをする★to Oのかわりにfor Oという表現もあり、この場合のforは不定詞の行為者を示すもの。
The nurse simply couldn’t do so.
the nurse: 看護師、看護婦▼simply: 簡単に、単純に;簡素に、質素に、地味に;単に、ただ~(のみで);[否定文で]全然、絶対に、とても~ない▼couldn’t do so: そうはできなかった
I waited five seconds and turned it off myself.
to wait: 待つ▼second(s): 秒▼five seconds: 5秒間▼to turn O off: Oの栓を止める、栓をひねってOを止める▼it = the oxygen▼myself: 自分で
I did it because I thought Oit Cthe best O’to leave the child in the hands of God.
thought: to thinkの過去形cf. think-thought-thought▼to think O C: OはCであると考える▼it: 形式目的語で、意味上の目的語はto leave the child in the hands of God▼the best: goodの最上級▼to leave O in the hands of God: Oを神の手に委(ゆだ)ねる▼I thought Oit Cthe best O’to leave the child in the hands of God = I thought … + It is the best to leave the child in the hands of God.
Was that the right decision?
right: 正しい▼decision: 決定、決断;決意、決心
I still don’t know.
still: 依然として、まだ、今でも
4.1
My six months in Madhu passed quickly, but they were very important to me as they gave true meaning to my 1life and 2work.
Madhu: 発音記号からすれば「マードゥ」だが、正式なところは不明。▼to pass: 過ぎる▼quickly: 素早く、急速に、すぐに、速く▼they = my six months in Madhu▼important: 重要な、大切な、大事な▼to me: 私にとって▼as: ~ので、~だから;~とき、~しながら、~した途端;~につれて、~に従って▼gave: to giveの過去形cf. give-gave-given▼to give OD to OI: OIにODを与える▼true: 本当の、本物の、真実の▼meaning: 意味、意義cf. to mean: ~を意味する▼life: 人生、生涯、一生、暮らし、生活▼work: 仕事、任務、務め、労働、研究、勉強、取り組み、努力、作業
4.2
The work of NGOs like MSF is helping to solve many of the world’s problems, but there is so much more to do.
work: 仕事、任務、務め、労働、研究、勉強、取り組み、努力、作業▼NGO = non-governmental organization▼non-governmental: adj.非政府の, 政府と無関係の, 民間の▼organization: 組織、機構▼a non-governmental organization: 非政府組織、民間公益団体《略 NGO》▼like ~: ~のような▼MSF : 国境なき医師団 = Médecins sans Frontières▼to help to do: ~するのに役に立つ、~する助けとなる;~するのを促進する、~するのを助長する▼to solve: ~を解決する▼many of ~: 多くの~▼the world: 世界▼problem(s): 問題▼the world’s problems: 世界の問題▼there is S: Sがある、Sがいる▼so much more: きわめてずっと多くのことがら★moreは代名詞のmuchの比較級。▼so much more to do: するべききわめてずっと多くのことがら⇒きわめてずっと多くのしなければならないこと★to doは代名詞のmoreを修飾する不定詞の形容詞用法。直訳だとくどいので「ずっと多くのなすべきこと」などとしてもよいと思う。
It is my hope [that many more Japanese will 1volunteer for such work, 2go and 2’see the real world, and 3begin to have a sense of compassion for people {who need help}].
It: 形式主語のitで、意味上の主語はthat以下の部分。▼hope: 希望、願い、望み▼many more ~: [Cの複数形の名詞を伴って]ずっとより多い~、ずっとより多くの~▼Japanese: 日本人★ここでは複数形。▼to volunteer: 進んで事に当たる[従事する]; 〔+[前]+[(代)名]〕a.〔…に〕志願する;〔…の〕徴兵に応募する〔for〕b. 進んで〔…として〕勤めたいと申し出る〔as〕▼such ~: そのような~、そんな~▼work: 仕事、任務、務め、労働、研究、勉強、取り組み、努力、作業▼go and see = go to see: 見に行く▼real: 本物の、真実の、本当の▼world: 世界▼to begin to do: ~することを始める、~し始める▼to have: ~を持つ、~を抱く▼sense: 感覚、認識力、判断力▼a sense of ~: ~の感覚▼compassion: [U](切実な)同情(心)、哀れみ《★[類語] pity》〔on, upon, for〕:have [take] ~ on [upon, for]… …に同情を寄せる。【ラテン語「一緒に苦しむ」の意(COM-+pat’@ 「苦しむ, 耐える」)】▼to have a sense of compassion for ~: ~に対して同情心を抱く、慈善心を抱く▼to need: ~を必要とする▼help: 援助、助け、助力
Such volunteers will find [that they get as much as they give].
such ~: そのような~、そんな~▼volunteer(s): 志願者;ボランティア、篤志奉仕家〔for〕:Are there any ~s for this work? この仕事を進んでやる人はいませんか:志願兵、義勇兵▼to find: ~を見出す、~を発見する、~に気づく▼to get ~: ~を得る、~を手に入れる▼as much as ~: ~と同じくらい(多くのもの)▼to give: 与える
In my own case, the experience not only gave direction to my life but also gave OIme ODan opportunity to think about [what it is to live as a human being.
one’s own ~: ……自身の~▼my own ~: 私自身の~▼case: 場合、事例▼the experience: 経験▼not only A but also B: AだけでなくBも▼gave: to giveの過去形cf. give-gave-given▼to give OD to OI: OIにODを与える▼direction: 方向、方角;(思想などの)傾向、動向、動き;指揮、指導、監督、管理;指示、指図、命令;方向づけ▼gave direction to my life: 私の人生を方向づけてくれた▼to give OI OD: OIにODを与える▼an opportunity: 機会、好機▼an opportunity to do: ~するよい機会、~するチャンス▼to think about ~: ~について考える▼it: 形式主語。意味上の主語はto live as a human being: ▼what it is to do …: ……することはどういうことであるか(ということ)▼to live: 生きる▼as ~: ~として▼a human being: 人間、人★humanは「人間的な」で、 beingは「存在」で、a human beingは文字通りには「人間的存在」
4.3
I plan to join MSF again and continue working with them until MSF is no longer necessary.
to plan: 計画する、予定する▼to plan to do: ~しようと計画する、~するつもりである▼to join: ~に加わる、~に参加する▼MSF : 国境なき医師団 = Médecins sans Frontières▼again: 再び、再度▼to continue: ~を続ける▼to continue doing: ~し続ける▼to work: 働く、仕事をする、勉強する、取り組む、従事する、努力する▼them = MSF▼until: ~まで▼no longer: もはや~ない▼necessary: 必要な
There are still countless 1sick and 2injured people all over the world.
There are ~: ~がある、~がいる▼still: 今でも、依然として▼countless: 数えられない、無数の、数多くの▼sick: 病気の▼injured: 傷ついた▼all over the world: 世界中に
SCrossing the border Vtakes Oa lot of courage, but I would like you to follow your own idea of [what is right].
crossing: to crossの動名詞▼to cross: 〈道路·砂漠などを〉横切る、〈川·橋を〉渡る▼the border: 国境▼to cross the border: 国境を越える▼to take ~: ~が要る、~を必要とする▼a lot of ~: たくさんの~▼courage: 勇気▼would like O to do: Oに~していただきたい★want O to doよりも丁寧(ていねい)言い方▼to follow: 従う、守る、~を追求する▼one’s own ~: ……自身の~▼your own ~: あなた自身の~▼idea: 考え、観念、着想、思いつき;知識、認識▼right: 正しい▼what is right: 何が正しいのか(ということ)★名詞節で、ofの目的語となっている。
You might 1find yourself in the minority, but 1have confidence in yourself and 2have the courage to put your beliefs into action.
might: ~する可能性がある 、~するかもしれない▼to find: ~を見つける、~を発見する、~を見出す▼yourself: あなた自身⇒自分自身▼to find oneself in ~: (気がつくと)〔ある場所・状態に〕ある、いる▼the minority: 少数;少数派;(人種·宗教上などの)少数民族▼confidence: 信用、自信、確信▼to have [put, place] confidence in ~: ~を信頼する = to give one’s confidence to, to believe in▼the courage: 勇気、度胸▼to have the courage to do: ~する勇気を持つ⇒勇敢にも~する▼belief(s): 信念★to believe(信じる)の名詞形▼action: 行動、行為▼to put your beliefs into action: 自分の信念を行動に移す
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