Not So Long Ago
さほど昔のことではないのだが……
No problem of human destiny is beyond human beings.
人間の運命に関わるいかなる問題も人類というものを超えてはいない。
—John F. Kennedy—
ジョンF.ケネディ
0.
Ken and Seung-mi are at an exhibition of photographs of the twentieth century.
ケンとスンミは20世紀写真展にいます。
In the entrance hall they listen to a short introduction.
玄関ホールでふたりは手短な紹介に耳を傾けます。
1.1
Ladies and gentlemen, welcome to our exhibition “Looking Back at the Twentieth Century.”
紳士・淑女のみなさん、私たちの写真展「20世紀を振り返って」にようこそ。
We have collected about three hundred photographs here.
私たちはおよそ300枚の写真をここに集めました。
They will show you something of the history of the past century.
それら[=それらの写真]は前世紀の歴史のうちのなにごとかをみなさんにお見せするでしょう。
1.2
The twentieth century was an age of great progress in 1science and 2communications.
20世紀は科学と情報工学における偉大なる発展の時代でした。
People’s lives became richer and more comfortable.
人々の生活は一層豊かに、快適になりました。
People 1achieved 1greater freedom and 2equality, and 2seemed to be closer to the dream of living a happy life.
人々はいっそうの自由と平等とを成し遂げ、しあわせな人生を送るという夢に近づいているようでした。
1.3
But S1it was also an age of terrible wars, and S2millions of people lost their lives.
しかし、それ[=20世紀]は怖ろしい戦争の時代でもあり、何百万人もの人々が命を落としました。
The photos here will show you [what people like you and me went through in the twentieth century].
ここにある写真は、みなさんや私のような人々が20世紀にどんなことを潜り抜けたのかをみなさんにご覧にかけるでしょう。
As you look at them, ask yourself: “How would you feel if these were photos of your own family and friends?”
それらをみなさんが目にするとき、自らに訊ねてください、「もしもこれらが自分自身の家族や友人の写真であったなら自分はどのように感じるであろうか」と。
Some will shock you, some may make you sad or angry.
みなさんに衝撃を与える写真もあれば、悲しませたり、怒りを覚えさせたりする写真もあるかもしれません。
直訳:何枚か(の写真)はあなたに衝撃を与え、何枚か(の写真)はあなたを悲しませたり、あるいは怒らせたりするかもしれません。
But they will also give you a message for our future.
しかし、それらはまた、私たちの未来のためのメッセージをみなさんに与えるでしょう。
(Before you look at the exhibition,) I would like to show you two photographs {which are particularly important to us}.
みなさんが写真展をご覧になる前に、私たちにとってとりわけ重要である2枚の写真をみなさんにお見せしたいと私は思います。
2.1
[A boy {standing at a cremation ground}]
焼き場に立つ少年
Let’s start with this one.
この写真から始めましょう。
This photograph was taken by an American photojournalist, Joe O’Donnell, in Nagasaki in 1945.
この写真は、1945年長崎で報道写真家ジョー=オダネルによって撮影されました。
He recently spoke to a Japanese interviewer about this picture:
彼は最近、この写真について日本人のインタビューアーに話しました。
2.2
“I saw a boy about ten years old walking by.
「私は10歳くらいの少年がそばを歩いているのを目にしました。
He was carrying a baby on his back.
彼は背中に赤ん坊を負(お)ぶっていた。
In those days in Japan , we often saw children playing with their little brothers or sisters on their backs, but this boy was clearly different.
当時の日本では、幼い弟や妹を負ぶったまま遊んでいる子どもたちを私はよく目にしましたが、しかし、この少年は明らかに違っていました。
I could see [that he had come to this place for a serious reason].
彼は深刻な理由でこの場所に来たのだということを私は見て取ることができました。
He was wearing no shoes.
彼は靴を履いていませんでした。
His face was hard.
彼の顔つきはこわばっていました。
The little head was tipped back as if the baby were fast asleep.
赤ん坊の頭は、まるでぐっすりと眠っているかのように、後ろに傾いていた。
2.3
“The boy stood there for five or ten minutes.
「少年は5分あるいは10分の間、そこに立っていました。
The men in white masks walked over to him and quietly began to take off the rope {that was holding the baby}.
白いマスクをした男たちが彼のところへ歩いて行き、赤ん坊を縛りつけている負(お)ぶい紐(ひも)を静かに解き始めました。
That is [when I saw [that the baby was already dead]].
そのときこそ、赤ん坊はすでに死んでいるということを私が知ったときでした。
The men aheld the body by the 1hands and 2feet and bplaced it on the fire.
男たちは遺体の手と足をつかみ、火の中に置きました。
2.4
“The boy stood there straight without moving, (watching the flames).
「少年は炎を見つめながら、微動だにせず直立してそこに立っていました。
He was biting his lower lip so hard that it shone with blood.
彼はとても強く下唇を噛(か)んでいたので、それ[=下唇]は血で光りました。
The flame burned low like the sun {going down}.
炎は沈みつつある太陽のように勢いを弱めました。
The boy turned around and walked silently away.”
少年はぐるりと向きを変え、静かに歩いて離れていきました」
3.1
[Children {burned by a South Vietnamese army napalm bomb {that has missed its target}}]
標的を外した南ベトナム軍のナパーム弾によって焼かれた子どもたち
[Kim Phuc {standing next to the photo}]
写真の横に立っているキム=フク
Let’s take a look at another picture.
もう1枚の写真を見ましょう。
I’m sure some of you have seen this picture before.
みなさんのなかにはこの写真を以前に見たことがある人がきっといるでしょう。
It was taken at the time of the Vietnam War in nineteen seventy-two.
それは1972年、ベトナム戦争のときに撮影されました。
Here a young girl, Kim Phuc, is running down a road in pain, (with her clothes burned off).
ここ[=この写真]では、幼い少女であるキム=フクさんは、服が燃えて脱げた状態で、痛みを感じながら、道路をこちらに向かって走っています。
This is [what she once said about the experience]:
つぎの文章は、彼女がかつてその経験について述べたものです。
3.2
“I didn’t hear anything, but I saw the fire around me.
「私には何も聞こえなかったのだけど、しかし、私には自分の周りに炎があるのが見えました。
And suddenly my clothes were gone because of the fire.
すると、突然、私の服が火のせいでなくなってしまったのでした。
And I saw the fire over my body, especially my arm.
それから炎が私の身体を、とりわけ腕を覆(おお)っているのが私には見えました。
But my feet weren’t burned.
でも、私の足は燃えていなかったのでした。
I was crying, and I was running out of the fire.
私は叫んでしました。それから、私は炎の中から外へと走っていました。
I kept running and running and running.
私は走って、走って、走り続けました。
3.3
“I was in the hospital.
「私は病院にいました。
Fourteen months.
14か月間も。
I went through seventeen operations (to repair the burns over half my body).
私の身体半分を覆う火傷を治療するために、私は17回手術を受けました。
And that thing changed my life.
それで、そのことが私の人生を変えました。
It made me think about [how I could help people].
そのせいで、どうすれば人の役に立てるのかしらということについて私は考えました。
直訳:それは、どうすれば人の役に立てるのかしらということについて私に考えさせました。
3.4
“When my parents first showed me the picture from the newspaper, I couldn’t believe [that it was me], (because it was so terrible).
[私の両親が初めて、新聞から(切り取った)写真を私に見せたとき、私はそれが私だということが信じられませんでした。それはあまりにも怖ろしかったのですから。
I want everybody to see that picture, because in that picture people can see [what war is].
私はみんなにあの写真を見てもらいたいと思います。なぜなら、あの写真から人々は戦争とは何であるかということを見て取ることができるのですから。
It’s terrible for the children.
それ[=戦争]は子どもたちにとって怖ろしいものです。
You can see everything in my face.
みなさんは(写真に映っている)私の表情からなにもかもを見て取ることができます。
直訳:あなたがたは私の顔にあるすべてのものを見て取ることができます
I want people to learn from it.”
私は人々にそれから学んで欲しいのです」
4.1
[Walk through Paradise Garden ]
楽園を通って歩く
So photographs tell us a lot.
だから、写真は私たちに多くのことを教えてくれます。
They show us [what happened in the past].
それらは過去に何が起こったのかということを私たちに見せてくれます。
They sometimes show us things {we may not wish to see}.
それらはときおり私たちが見たいとは望まないものを私たちに見せます。
4.2
The twentieth century was a century of war.
20世紀は戦争の世紀でした。
There were two world wars, and a cold war, and smaller wars all over the world.
2つの世界大戦と冷戦と世界中での小規模の戦争がありました。
A Japanese journalist even called the twentieth century “thirty-six thousand days of suffering.”
ある日本人ジャーナリストは20世紀のことを「3万6千日におよぶ苦難の日々」と名づけさえしました。
It is perhaps difficult [to find any sign of hope in the photos here], but we can (if we try).
ここにある写真に希望のしるしを見出すことはおそらく難しいでしょうが、しかし、私たちがそうしようと努力するならば私たちにはできるのです。
4.3
Kim Phuc’s story is a good example.
キム=フクさんのお話はわかりやすい実例です。
With warm support from a great many people, she now enjoys a family life in Canada .
じつに多くの人々からの温かい支援によって、彼女は今ではカナダで家族との生活を楽しんでいます。
She says, “I have to show my son [what happened to his mom, to her country], and [that there should never be war again].”
彼女は言います。「母の身に何が起こったのか、母の祖国に何が起こったのかということ、それに、二度と戦争を起こしてはならないということを、私は息子に教えなければなりません」
4.4
There should never be war again.
二度と戦争を起こしてはならない。
This is the message {we would like the photographs of this exhibition to bring to you today}.
これこそが、この写真展の写真がみなさんに伝えてほしいと私たちが思っているメッセージです。
I would like to leave you with the thought [that all this happened not so long ago].
こうしたことがみな、起こったのは、さほど昔のことではないという考えをみなさんに託したいと思います。
4.5
Thank you.
ありがとうございました。
3 件のコメント:
ありがとう。
役に立ったよ。
色がついてあるのは何を表しているの?
匿名さん(2012年11月30日)へ
タメ口(ぐち)のコメントとは、新鮮な感じがしてしまい、ちょっと感動しました。これはイギリス人がするような遠まわしの皮肉ではなく、本心です。
色についてはどこかに書いてあります。緑色は主語(部分)を、オレンジ色は動詞(部分)を、桃色は目的語(部分)を、青色は補語(部分)を示しています。
また、水色は前置詞を、このテキストでは茶色は前置詞の目的語(部分)を、紫色は接続詞を、藍色は間投詞を示しています。
文の成分と語の品詞とを混ぜているので、一部からは批判も受けていますが、学習速度が早くなるのはまちがいないようです。
大学受験の指導の際にも、過去に出題された英文に関して同様のプリントを作成して、暗唱できるようにしています。
ありがとうございます。
この前は、ためぐちですいません。
高校に入ってから英語がわからなくなってしまい困っていたところいいサイトを見つけました。
明日は、英語の期末テストです。
頑張って本文を理解します!
文章をS、V、o、Cにしてくれたらわかりやすいかな。
わがままですいません。
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