THE GREAT JOURNEY
グレート=ジャーニー
1.1
(When the villagers saw me, they asked with a friendly smile on their faces,) “Which river do you come from?”
村人たちが私と会ったとき、顔に友好的な微笑を浮かべながら彼らは訊ねた。「お前さんはどの河から来たんだい?」
“The Tamagawa,” I answered.
「多摩川だよ」と私は答えた。
“Is the Tamagawa as big as this river?
「多摩川はこの河と同じくらいに大きいのかい?
Can you catch many fish there?”
そこではたくさんの魚を捕らえることができるのかい?」
1.2
At that time, the villagers didn’t even have their own names.
そのとき、その村人たちには自分自身の名前がなかった。
“Isn’t it inconvenient [that you don’t have names]?”
「名前がないというのは不便じゃないのかい?」
“Not at all.
「全然。
But (if you need them), give us names.”
でも、名前が必要なら、私たちに名前をつけてくれよ。
I named them Tochan, Kachan, and so on.
私は彼らに、父ちゃん、母ちゃんなどの名前をつけた。
1.3
That was the time {when I first met Machigenga people}.
これは、マチゲンガ族の人々と私が初めて会ったときのことだ。
They live in the Amazon jungle of
彼らは、ペールのアマゾンの密林で暮らしている。
(When I stayed with them,) I felt [that they were distant relatives of the Japanese people].
私は彼らのところで滞在したとき、彼らは日本人の遠い親戚であると私は感じた。
Their looks are similar to ours.
彼らの外見は私たちの外見と似ている。
1.4
I knew [o we are both Mongoloid].
私たちはともにモンゴロイドであると私は知っていた。
“How did we end up living on opposite sides of the world?”
「いかにして、私たちは、最後には世界の反対側で暮らすようになったのであろうか?
After this, I became more interested in the history of humankind.
この後、私は人類の歴史に興味を抱(いだ)くようになった。
This motivated me to start my new adventure.
このことが新しい冒険を始める動機を私に与えた。
2.1
The first ancestors of humankind were born in eastern
人類の最初の祖先は、およそ6百万年前に東アフリカで生まれた。
Over a million years ago, their descendants moved out of Africa into
百万年以上に亙(わた)って、その子孫たちはアフリカから出て、アジアへと移動した。
Some of them kept on traveling to the east into North America, and finally reached the southern end of
彼らのうちの一部は北アメリカにいたるまで東へと移動し続け、最終的には南アメリカの南端に到着した。
This journey of over 50,000 kilometers is called the “Great Journey.”
5万キロメートル以上のこの旅行は「グレート=ジャーニー」と呼ばれている。
I decided to follow the route of the Great Journey in reverse.
私は逆にグレート=ジャーニーの経路を辿(たど)ることを決意した。
In December 1993, I started off from the southern end of
1993年12月、私は南アメリカの南端から出発した。
2.2
On my Great Journey, I wanted to try to experience nature as our ancestors did.
このグレート=ジャーニーでは、私たちの先祖が経験したように、私は自然を経験することに努めたいと考えた。
That was one reason {why I traveled at all times on foot, by bike, by boat, and sometimes on skis}.
これこそが、私がいつでも、歩いたり、自転車に乗ったり、ボートを漕いだり、そして、ときには、スキーで滑ったりした理由である。
2.3
One of my most difficult times occurred in
自分にとって最も困難な時期のひとつがパタゴニアで起こった。
(When I was crossing a snowfield,) I was hit by a violent storm.
雪原を横切っていたときに、私は激しい嵐に襲われた。
It lasted for days.
それは何日も続いた。
One night, my heavy sled was blown away.
ある晩、重量のある橇(そり)が吹き飛ばされた。
Luckily I found it three kilometers away the next morning.
幸運なことに、翌朝、3キロメートル離れたところでそれが見つかった。
3.1
My journey was more than just traveling from South America to
この旅行はたんに南アメリカからアフリカへ移動する以上のものであった。
I stayed in villages and towns along the way.
途中で村や町で滞在した。
途中の村や町で滞在した。
By experiencing the daily life of the local people, I learned some important lessons for us today.
地元の人々の日々の暮らしを経験することによって、私は今日の私たちにとって重要な教訓をいくつか学んだ。
Many of these people are still living in harmony with nature as ancient people did.
こうした人々の多くは、今でも、古代の人々がそうしていたように、自然と調和して暮らしている。
3.2
For example, in the northern part of
たとえば、カムチャッカ半島の北部では、コリヤーク族の人々は伝統的な方法で馴鹿(じゅんろく=トナカイ)を飼っている。
Reindeer are the source of life to them.
馴鹿(じゅんろく=トナカイ)は彼らにとって生命の源泉である。
They use every single part of a reindeer.
彼らは馴鹿(じゅんろく=トナカイ)のありとあらゆる部分を利用する。
The hides are turned into clothes, and the meat, blood and organs give them protein and vitamins.
皮は衣類に変えられ、肉と血液と内臓は彼らに蛋白質とヴィタミンを与える。
→皮革を衣類にし、肉と血液と内臓から蛋白質とヴィタミンを摂取する。
The bones are given to the dogs.
骨は犬に与えられる。
Nothing is wasted.
なにも無駄にはされない。
3.3
During the journey, I experienced 1the heat of summer and 2the cold of winter {that people in the wilderness did long ago}.
旅行の間、昔、荒野で暮らす人々が経験した夏の暑さと冬の寒さを私は経験した。
And finally, on February 10, 2002, I reached Olduvai in Tanzania.
そして、2002年2月10日に、漸(ようや)く、私はタンザニアのオルドヴァイ渓谷に到着した。
That’s the place {where the first true evidence of an ape-man was discovered}.
そこは、猿人の紛れもない最初の痕跡が発見された場所である。
4.1
Japanese people had O1a “Great Journey” of their own, O2a kind of branch from the Great Journey.
日本人は自分たち自身の「グレート=ジャーニー」、すなわち、グレート=ジャーニーから枝分かれしたようなものを経験している。
Some scientists think [that we took three different paths about 30,000 to 40, 000 years ago to reach the islands of
私たちは日本列島に辿(たど)り着くのに、およそ3万年から4万年前に異なる3つの経路をとったと一部の科学者は考えている。
→私たちはおよそ3万年から4万年前に、3つの違う経路で日本列島にやって来たと考える科学者がいる。
I decided to follow each of these three paths as a new adventure.
新たな冒険として、これらの3つの経路のひとつひとつを辿(たど)ることを決意した。
4.2
This is my second “Great Journey,” (even if it’s much shorter than my first).
これは、たとえ、最初の「グレート=ジャーニー」と較べてずっと短いものであるにしても、私にとって2番目の「グレート=ジャーニーである。
I want to explore the various origins of “Japaneseness” {that still exist among people in different locations}.
さまざまな場所にいる人々の間に今でも存在している「日本人らしさ」の多様な起源を私は探りたいと考えている。
4.3
On July 8, 2004, I started to take the “northern” route.
2004年7月8日、私は「北部」経路を辿(たど)り始めた。
By this route, people came to
この経路によって、人々がサハリン島を経由してシベリアから日本へとやって来た。
Like my previous journey, I am traveling only on foot or by bike and interacting with the local people {o I meet}.
前回の旅行のように、私は歩いたり、自転車に乗ったりするだけで旅行をし、私が出会った地元の人々と交流している。
I am taking DNA samples from some people during the trip.
私は旅行の間、いく人かの人々からDNAの標本を採取している。
I want to compare these with samples from Japanese people.
私はこれら(の標本)と、日本人から採取した標本とを皮革したいと考えている。
My journey will be completed in five years.
私の旅行は5年後に完了する。
I will be 60 years old then.
そのとき、私は60歳になっている。
1 件のコメント:
かなり助かりました(^O^)
ありがとうございます♪
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